子ども向けの分別教育・環境学習に最適

知識
  • 高齢者のゴミ屋敷問題とその解決策

    知識

    ある日、長らく連絡が途絶えていた母からの電話で、私は耳を疑いました。実家が、いわゆる「ゴミ屋敷」になってしまっているというのです。聞けば、物が捨てられなくなり、足の踏み場もないほどに散乱しているとのこと。私はすぐに実家へ向かいました。玄関を開けた瞬間の衝撃は忘れられません。天井近くまで積み上げられた新聞紙、空のペットボトル、賞味期限切れの食品の山。どこから手をつけていいのか、途方に暮れてしまいました。母は認知症の初期症状も出ており、自分の行動を理解しているのかも曖昧な状態でした。ゴミ屋敷の問題は、単なる片付けの問題だけではありません。高齢者の場合は、身体能力の低下、認知機能の低下、孤立、精神的な問題など、様々な要因が複雑に絡み合っています。私の母の場合も、父が亡くなってから一人暮らしになり、寂しさから物を溜め込むようになったのかもしれません。また、足腰が弱くなってきたことで、掃除や整理整頓がおっくうになり、それが加速度的にゴミを増やしてしまったのだと思います。私はまず、地域の地域包括支援センターに相談しました。そこでは、福祉サービスの紹介や、専門業者への橋渡しをしてくれるとのこと。いくつかの業者の中から、高齢者のゴミ屋敷清掃に特化した業者を選びました。作業は想像以上に大変でした。長年蓄積されたゴミは、異臭を放ち、害虫の発生源にもなっていました。業者の方々は、慣れた手つきでテキパキと作業を進めてくれましたが、その様子を見ているだけでも胸が締め付けられる思いでした。しかし、何日かかけて全てのゴミが撤去された時、そこには光が差し込む、かつての母の家が戻ってきていました。同時に、母の表情も心なしか明るくなったように見えました。この経験を通して、私はゴミ屋敷の問題は、周囲の人間が早期に気づき、適切な支援を行うことが何よりも大切だと痛感しました。