ゴミ屋敷清掃という仕事において、レベル10と判定される現場に立ち向かうには、単なる掃除の延長ではない、軍事作戦にも似た緻密な計画と強靭な精神力が要求されます。レベル10の現場は、入り口のドアを開けることさえ困難なケースが多く、まずは外から高所作業車やはしごを使い、窓から侵入して「ゴミの頂上」から切り崩していく戦術が必要になることもあります。作業員は、B型防護服に防毒マスク、突き刺し防止機能付きの厚手のグローブを装着し、物理的な汚染だけでなく、注射針や割れたガラス、さらには病原菌が含まれた汚物といった生命を脅かすリスクから身を守らなければなりません。まず最初に行うべきは、害虫の徹底的な駆除です。強力な燻煙剤を散布し、数万匹のゴキブリやハエを沈静化させなければ、作業中に耳や鼻の中に侵入される危険があるからです。次に、ゴミの地層を上から順に撤去していきます。レベル10の現場では、ゴミが圧縮されて一つの岩盤のようになっているため、手作業で一つひとつ剥がしていく忍耐力が求められます。上層のゴミを撤去する際には、崩落によって作業員が生き埋めにならないよう、常に足場を確保しながら、土嚢袋に小分けにして搬出ルートを作ります。この際、最も警戒すべきは水分を含んだ下層部のゴミです。生ゴミや汚物が腐敗してヘドロ状になった液体が、床板を腐らせ、階下への漏水を引き起こしていることが多いため、吸水材や特殊な薬剤を使いながら慎重に除去を進めます。ゴミの搬出が終わった後は、いよいよ特殊清掃の段階に入ります。レベル10の現場では、床や壁に染み付いたアンモニア臭や腐敗臭がコンクリートの深部まで到達しているため、一般的な消臭剤は全く効果がありません。高性能なオゾン発生器を24時間以上稼働させ、酸素分子を酸化させて臭いの元を分解すると同時に、専用のコーティング剤を壁や床に塗布して臭いを封じ込める作業を行います。これほどの極限状態を解決するには、数日間で数百万円というコストがかかることも珍しくありませんが、それはそれだけの命がけの労働と特殊な技術が投入されている証でもあります。レベル10のゴミ屋敷清掃は、一人の人間が社会的な死から生還するための、文字通りの「除染」作業なのです。もし周囲にレベル10に達しそうな家があるならば、それが取り返しのつかない構造的ダメージや火災を引き起こす前に、プロの介入を強く勧めることが、結果として唯一の解決策となるのです。
極限のゴミ屋敷レベル10を清掃する術